うつし世はゆめ

旅行記ほか、日常生活で感じたことなどを徒然と。

ポケモン・オリンピック

世界中がオリンピックで沸き上がっていた日曜日。

なにもすることのなかった私は、都内にあるポケモンの巣へ捕獲に行ってきました。

ええ、ひとりで、ですが、なにか?

Tシャツ、パンツ、スニーカー、帽子。そして全身に日焼け止めを塗り、手荷物は最小限で。

万全の態勢です。

 

行ってびっくり。

以前は家族連れやカップルが穏やかに散歩したり寝そべったりピクニックしたりしていたその公園は、完璧にポケモントレーダーの巣と化していました。

右を向いても左を向いても、スマホ片手に夢遊病者のようにふらふら歩く大人だらけ。

カップルで、あるいは友人同士で盛り上がっている人たちも多かったが、ひとりで来ている中年男性も多かった。

だけどさすがに私のようにひとりで来ているご婦人はいないだろう・・・と思いきや、いやいや結構いました・・・。

家族連れも見かけたけど、子どもより親のほうが夢中になってる感じだった(笑)。

 

で、成果はどうだったかというと。

もう、いたるところにポケストップがあり、ばんばんルアーが刺さってる。

だいたい人が密集しているあたりは花びらポイント。

ほとんど休む間もないぐらい、次から次へとかかるかかる。

レアなポケモンはほとんど出ず、メジャーなものが多いのだが、それでも数がすごいので、普通に捕獲しているだけでどんどんXPが上がっていく。

もちろんポイントによってレアなポケモンもいた。

新しい子や珍しい子をgetできましたよ。

ただ、調子に乗って捕獲しすぎて、モンスターボールが足りなくなったのには焦った。

ポケストップをタップしようとするそばからモンスターが現れるんだもの。

ちゃんと補給しながら、やらないとね。

その巣はなにしろ広いので、途中ベンチに座って水を飲んだりしながらかれこれ2時間くらい歩き回り、バッテリーが残り5%になるまでやり続け(笑)、やっとこさレベル20になりましたとさ(汗)。

 

いい大人がほんとバカみたい・・・って客観的には思うし、通勤中の駅のホームや路上でやってると白い目で見られてる気もするけれど、ここポケモンの巣では、なにも恥ずかしくはない。

みんな、一緒だ。

みんな、恥ずかしげもなく、真昼間の都会の公園で、見知らぬ人たちに揉まれながら、血眼になってポケモン捕獲に興じている。

それは美しい姿ではない。むしろカッコ悪い姿である。

だけど、これがもしかしたら多くの日本人の姿なのかもしれず、もちろんそのなかには私もいる。

美しくもなければ高邁でもないが、だからといって悪者でも愚か者でもない。

そういう人たちが流行に乗ることでいろいろなことが動いている・・・

天気の良い日曜の昼、わざわざひとりで大きな公園に出かけて架空のモンスターを捕獲する、という、健康なんだか不健康なんだかわかんないことをオリンピックのさなかにやってる日本人(ていうか私)。

なんだか、ウケる。

 

今日のオリンピックの閉会式を見ていて思ったが、昔はアニメやゲームって「オタク」の代名詞でバカにされていたけど、今や日本を代表するカルチャーとなっている。

昔々、オタク評論家の宅八郎が、雑誌のインタビューで「これからの時代は、『オタク』が日本を動かす」って言ってたけど、そのとおりになった。

もともとうさんくさいと思われていたものが、いつのまにか主流になっている。

多くの人が面白がれば、勝ち。

面白がった者が、勝ち。

世の中の価値観なんてすぐ変わる。

今の日本や東京五輪に対し否定的な人が多いが、私はそんなでたらめな日本が嫌いではない。

オリンピックで活躍した選手たちや、素晴らしい作品を作り出しているクリエイター、革新的なIT技術を生み出すエンジニアなどなど、日本にはすごい人材がたくさんいる。

だけど、その技術や作品が世の中に広がり、認められるのは、そのすごさ、楽しさを認め、享受する一般人がいるからこそで。

だから、日本はまだまだ捨てたもんじゃない、と、ポケモンに一喜一憂する大人たちを見て思ったのでした。