うつし世はゆめ

旅行記ほか、日常生活で感じたことなどを徒然と。

直島~豊島~高松~大歩危~高知の旅④

2月9日(月)4日目

 

大歩危~高知

 

朝は早めに起き、温泉へ。せっかく温泉に来ているのだから、最低でも3回は入らねば。お風呂は誰もいず、ゆっくりできた。景色も良く、気持ちよかった。

朝食は、いかにも旅館の朝食というような、豪華でもりだくさんな内容。

チェックアウトして、車を出してもらって大歩危駅へ。ホテルから駅までは離れている。外は雪で、寒い。

朝の人気のない大歩危駅に、しんしんと雪が降っている。周りは渓谷。駅のホームには「祖谷のかずら橋はこちらで降りてください」という看板がある・・・が、観光客など誰もいない。

さびしい風景だけれど、なんか風情がある。

観光シーズンなら、きっと賑わっているのだろうけど、あまりにもひっそりしすぎているオフシーズンにここへ来れたのもまたよかった。

 

9:43の特急しまんと5号に乗り、高知へ向かう。

10:37に高知着。そこから路面電車に乗る。

大通りを走る路面電車というのものが、高知にはある。はりまや橋でいくつかの路面電車が交差している。

電車に乗りながら街中の風景を見られる・・・とても活気のある街だ。

ごめん線という、ユニークな名称の路面電車に乗り、友人・Sさんと待ち合わせる。

2年前に亡くなった友人・Oさんのお参りをしたい、と、私がSさんにOさんのお墓の場所を尋ねたところ、Sさんも同行してくれることになったのだ。

Sさんは車で迎えに来てくださった。

向かった先は、お墓ではなく、寺の納骨棚だった。

お寺の玄関で靴を脱ぎ、階段を降りると、納骨堂がある。

たくさんの棚がある。たくさんの人の骨がそこに納められている。

Oさんの棚は比較的手前にあった。

納骨棚の引き出しに鍵が入っており、扉を開けると、お参りできるようになっている。

そこにはOさん、Oさんのお父様とお母様、お兄様の遺骨があった。

過去帳を見ると、Oさんの法名には「徳」「衆」の字が。

人に愛され、Oさんのもとに人が集まってきた・・・ということなのだろう。

享年55歳。早すぎるよ・・・。

Oさんもお兄様も独身だったので、O家の血筋は絶えたのだ。。。

お墓でもなく、たくさんの人の棚がある納骨堂の一角にあるO家の納骨棚。

なんだか、あっけないような、さびしいような・・・。

 

SさんはOさんの高校の同級生で、Oさんが入院してから亡くなるまでお世話をして、お葬式の手配までもやってくださった方だ。

というのは、Oさんが癌で入院したときには、すでにお母様もお兄様も他界しており、お父様は認知症で施設に入っていたからだ。

お参りした後、もう一人のOさんの同級生であるYさんも合流し、3人でランチすることに。

高知の様々な食材を使ったビュッフェランチ。

Oさんのこと、高知のことなど、いろいろ話を聞いた。

 

その後、Sさんの車で、観光へ連れて行ってくれるという。

そこまでしていただけるとは思っていなかったので、恐縮しつつも、せっかくなので連れて行ってもらうことにした。

とはいえ、18:20の飛行機で東京へ戻る予定だったので、あまり時間はない。

空港から車で行けば近いという龍河洞へ連れて行ってもらった。

龍河洞は、日本三大鍾乳洞のひとつに数えられる。国の天然記念物にも指定されている。

なかは広く、這って進んだり急な階段を上ったりする。そこに現れる景色には圧倒される。これがすべて自然にできたものだとは・・・。

洞内には弥生時代の穴居生活の跡があり、弥生式土器である壺が鍾乳石と一体になっているのも見える。

ほんとに弥生時代にここに人が住んでいたのか・・・洞窟のなかで身を守っていたのか。

弥生時代って・・・気が遠くなる。

龍河洞は、普通に観光するだけでなく、予約制で「冒険コース」という、ヘルメットとペンライトだけで真っ暗な洞内を体験するコースなどもあるという。

さながらゴキコンの世界だな。それもすごく面白そうだ。

龍河洞に併設されている龍河洞珍鳥センターへも行った。

特別天然記念物に指定されている、尾羽が極端に長いオオナガドリなどがいる。

オナガドリは、その長い尾羽を効果的に見せるための展示用のケースに入れられており、自由に動くことができない。

こんな狭いところで、数少ない観光客の目にさらされるために生きているなんて。

なんだか可哀相だった。

 

時間は少し余ったが、ほかに近くで適当な観光スポットもないので、早めに空港へ行き、3人でお茶。

その前にお土産屋へ立ち寄ると、Sさんは土佐鶴を、Yさんは鮎焼をお土産に買ってくれた。

龍河洞の入場料も、その前のランチ代も、払っていただいている。

車であちこち案内していただいただけでも十分なのに。。。

見返りを求めずに人をもてなす・・・という文化が、高知にはあるのかな。

亡くなったOさんも、相手になんの見返りも求めずにあれこれしてくれる人だった。私はそんなOさんに甘え、随分世話になった。

SさんもYさんも、Oさんのつながりで知り合った人たちだ。

Oさんが東京へ遊びに来たときに、SさんとYさんも一緒に来て、そのときに紹介されて会ったのだった。

Oさんという、ちょっと変わった楽しい人が、新たな出会いをもたらしてくれた・・・。

人と人との縁というものは、本当に不思議で得難いものだな・・・。大切にしないといけないな。

SさんとYさんには、改めてお礼を贈りたい。

 

高知龍馬空港を出ると(それにしてもすごい名称だ)、東京まで1時間で着いた。

3泊4日の、あまりにも濃密すぎる旅が終わった。

私は滞在型の旅よりも、こういう移動型の旅が好きだ。

宿をとったり交通ルートを考えたり、いろいろ大変だけれど、刺激的で楽しい。

だけど、こんなふうにオフシーズンにのんびり一人旅できる機会なんて、この先数年はないだろう。

私の夢は、いつかヨーロッパを一ヶ月くらい一人旅すること。トルコ、ギリシャなどを周りたい。まだまだ、行ってない国がたくさんある。

国内だって行ってないところ、知らないところがいっぱいある。

今回の旅で、それがよくわかった。

「四国」がどこにあるかを知っていても、実際に行ってみなければ、なにもわからない。

そこがどんな気候で、どんな景色で、どんな言葉が交わされていて、どんな人たちが住んでいるのか。

実際にこの目で見て、歩かないといけない。

まだまだ、行く場所はたくさんある。日本の東京という狭いところでのんびりしているだけではダメだ。

旅行に行けば行くほど、そう感じる。